高齢者や障がいのある方の生活に寄り添う、やりがいのある仕事を担う介護職。その一方、身体的な負担だけでなく精神的な負担も大きい仕事であるため、心身の健康維持に注意が必要である。
介護職の仕事は多岐にわたり、食事、入浴、排泄の介助といった身体介護に加え、レクリエーションや話し相手といった精神的なケアも含まれる。これらの業務は体力的にきついだけでなく、常に利用者の状態に気を配り、適切な対応をしなければならないため、精神的な緊張を強いられる。特に、認知症の方への対応などは、介護職の精神的負担を増大させる要因ともなる。
仕事がとにかく忙しく、心身をいたわる時間を持てないことも大きな原因である。人手不足の職場では、休憩時間が減ったりや休日出勤を余儀なくされる場合もあり、慢性的な疲労につながる。体力的な負担が大きい業務で体の疲れが蓄積されると、心の疲れも生じやすい。体の健康と心の健康は連動していることを忘れてはならない。
また、介護職は感情労働という側面も持つ。感情労働とは、仕事を行う上で自分の感情を抑制したり、特定の感情を表出したりする必要がある労働のことである。介護職の場合、利用者と良好な関係を築くために、常に笑顔で接し、共感的な態度を示す必要がある。しかし、時にはつらい状況や悲しい出来事に直面することもある。そのような状況でも、自分の感情を抑えて仕事をしなければならないため、大きなストレスを抱えることになるのだ。利用者に共感するあまり、心が疲弊する介護職もいる。自分の感情を適切に処理する方法を身につけ、心身の健康を維持することが重要である。